いすきですのブログ

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6月20日の詩2 朝顔

朝顔を育てよう 僕と君で そうすれば夏休みだ くだらないけど仕事は続けよう タバコはやめよう お酒もやめよう 夏休みに似合わないから 似合うのはそうだな 夏祭り 浴衣と花火 蝉の声 公園? それから、それから ああ 夏らしいものなんていくらでもあったはずなのに 私は思い出せなくなっている 

「君はどう思う?」

それを悟られないよう 君を悲しませないよう 何気なく話を振ってみたけれど 何もかもお見通しかもしれないね でも互いにそこには触れないようにしている 君はまたそのままの調子で色々なものの名前を口にした 僕は半分上の空だ 半分の僕は別のことを考えていて 僕にはその取り繕った無邪気さが 夏によく似合う気がしていた 昔から君は残酷なほど大人びていた 子供特有の悟りめいた態度のようには見えなかった そんな君が朝顔を 無邪気なまでに大切にしていたことは すごく記憶に残っている

さよならの練習

さよならの練習を君のためにする ああ友人たちのため さよならは良い思い出にしよう もう会うこともないかもしれないし または会うかもしれないが いずれにしても今日までの交友関係は終わり いまの友達同士という役回りを当たり前にやる日はもうこない そういうわけだから お別れの練習を良くやって 後悔のないようにさよならを告げる必要がある そうだろう? 

さよならの練習

さよならー さようなら さよなら サヨナラ さようなら サヨナラ さよならー さよなら さよなら さよなら さよなら さよなら! さよーならー さよなーらー さーよーなーらー さよなら サヨナラ さようなら さよなら

6月20日の詩 さよならの練習

さよならの練習

さよならー さようなら さよなら サヨナラ さようなら サヨナラ さよならー さよなら さよなら さよなら さよなら さよなら! さよーならー さよなーらー さーよーなーらー さよなら サヨナラ さようなら さよなら

6月19日の詩 虹演出

旅に疲れた雨水が駆けまた然る場所で眠るように姿を消す 

血の巡りを連想させる 

理想はこのあめの恵みのように自由に流れ重力に身を任せること あるいは砂のように風に運ばれまた風の吹かない谷の底で眠ること 

それか宝くじで神の啓示を得て確定虹演出を見たいな。絶対めちゃくちゃゴージャスだと思う 

6月18日の詩 二心の者

砂漠に果実一つ

宇宙に星一

たった一つの月の前に二つ心が揺れ動く

二つ心の重ね合わせでたった一人で生きていく

世の中にある一つは二つ

嘘の一つ 永遠なる一つ

果実も星も永遠なる一つだが

人は必ず嘘の一つに違いない

僕は一人で二つの心を持っているし

人は結局いつも一人になっている

 

ジオラマの夢(これはかなり完成度が低い)

ジオラマ ジオラマ

奥へと続く長い道の端っこに僕は立っている。天井は高い。道幅は余裕を持って人がすれ違える程度。よく見る並の蛍光灯が等間隔で照らしているが全体的に少し暗い。足下の両わきには非常灯。ふーんここがジオラマなんだと感心しながら僕はあたりを見回した。ここは夢の中なのだ。僕は今、ジオラマの夢を見ているはずだと確信している。

 

ジオラマなら命のジオラマだろう。僕のことならそれしかない。それ以外なら小さな頃のおもちゃのためのジオラマもあり得るけれど、そんな趣じゃないらしい。

 

ドア、ドア、ドアが続くと気付いて、僕は順番に全て開けていかなくてはならないだろうと感じる。(なお、本当のジオラマなら普通はこんなに味気ないことはないだろう。これはこのジオラマが特別だからで、つまり僕の命のジオラマボキャブラリーを欠いているということだ。そして、何が本質的に欠かれているかをここで知らなくてはならない、という仕組みなのだろう。おそらく。)

 

ドアは両端にあり、これが2週間前に見かけたホテルの廊下のビジョンとわかる。夢は記憶の整理だ。廊下の両側にずらっと扉が並んでいるわけなのだけど、どっちから攻略しよう? 交互に行くか、まずは片側を全て調べ尽くしてしまうか? まあともかく、いま選ぶべきなのは、左右の扉のどちらかだ。迷ったらいつも右を選ぶと僕は決めているので、その法則を発動した。一つ目。

 

バックドラフトだ。ご挨拶だ。皆さんご存知でしょうか? 火事のとき、部屋の中の酸素濃度が低下して炎がいったん鎮まるものの、例えば消防士が鎮火のために外からドアを開けたその瞬間、一気に反応が再開されて、爆発的な火炎が起こること。これをバックドラフトと言います。一つ目の扉はバックドラフトを起こした。ジオラマなんて嘘っぱちだ!僕はふきとばされて壁に叩きつけられる。同時に扉がパタリと閉まる。これで満足だということらしいな?

 

こんなことは二度とゴメンだと思うので、扉には「開けるな!バックドラフト注意」と書き込んだ。2つ目の扉を開けるつもりもない。でも、やらなければならないだろう。だって、まさか、このバックドラフトが僕の命のジオラマに足りなかったものですか? それに、このたくさんあるドアの一つくらいは、僕をスーパーカーに導いてくれるかもしれない。やけっぱちですぐ隣の扉を攻略する。特殊部隊のように素早い。

 

さて、ものすごく明るい!またもやバックドラフトかと思わず身構えたのだが、どうやらそうではないらしい。というか、実際にはもう廊下も何もここにはなくて、どうやら僕は夢から醒めてしまったようだった。なぜか部屋の電気がついているがこれが眩しくさせたのだろう。リモコンに頭が当たって寝てる間に点けてしまったのかもしれない。

 

僕は照明を再び消して、今度こそ馬鹿なことが起こらないようにリモコンを反対側の壁に向かって放り投げた。同時に枕元のアイマスクを着用して、もう白みだした早い朝を真っ暗な夜に取り替えた。もうすぐ夏がくる。夏より冬のほうが僕は好きなつもりだが、すこし気持ちが高揚する。

 

ジオラマで探し出すべき答えは、拒絶されてしまった。一日に一つしか扉を開けてはいけないのかもしれないが、以来ずっとジオラマの夢は見ていない。だが、期待しすぎることはないだろう。夢は単に夢だし、僕が本当の意味で知らないものは、知らないことも知らないのだから、答えとは、生きていくなかで見つけなければならないのだろう。

6月16日の詩 ヘルプ・ミー

欠片ちりぢり散りばめて

形にならない意識の破片

寂しい夕暮れ冬の図書室

愛の言葉を探していたよ

知らないことがたくさんあるとわかったけれど

どうしてここには自分一人しかいないのだろう

空はすっかり焼けていって

こんな遅くに図書室に、一人でいてもいいのだろうか?

そもそもここは一体どこで、いつの時代の記憶だろう?

知りもしない学校の、通わなかった図書室になぜいるのだろう?

言葉探しの仕事はまだ山のように残っているが

空を焼いた火が落ちて

校舎も炎に包まれた

染みのようにページが焦げて

砂のように散ってゆく

欠片となってちりぢりに

形にならない本の破片

もう寂しくない一人の夜冬の焼け跡

帰り道を探すばかり

 

6月14日の詩2 証明されない月の行き先2

別バージョンも書いて結論が出せなくなった

 

証明されない月の行き先
暮れた後の夜のはじまり
さめざめ深く
暗くなってゆく空だけど
私が眠ることはない

 

夜の空にただ一人なのは月の方ではないだろうが
誰の言葉も月まで届くことはない
それでもこの大きな星が
強い力でそれを引き留め
針路をひとつ定めるならば
そうであるなら救いだけはあるのだろうか
証明されない月の未来にも

6月14日の詩 証明されない月の行き先1

証明されない月の行き先

暮れた後の夜のはじまり

さめざめ深く

暗くなってゆく空に

 

あかりの落ちた部屋の中にも

豆電球がひとつ灯れば

いわば夕日だ、月でなく

その日の終わりに夢見るものを

決して夕日は見送らないが

 

夜の空にただ一人なのは月の方ではないだろう

それでもこの大きな星が強い力でそれを引き留め針路をひとつ定めるならば

そうであるなら証明は

まだ預けよう

 

 

 

6月13日の詩 ループ

隙を見つけて頭はひとりでに動きはじめる。

僕はそれをただ傍観する。

欲しがるものを与えてやらねばならないからだ。

繰り返される破滅的なシナリオの、

枝葉の果てまで追いかけて、

行き先は全て地獄と決められていることを悟る。

でも本当は、

僕はそれを知っているのだ。

なのに彼はまだ思い続ける。

隙ひとつない枝葉の果てまで。

6月10日の詩 サハラゲートの詩人

その時ぼくはもう何も考えなかった。視界は右へ左へ大きく動き、同時に激しく小刻みにも揺れた。真っ赤なランプが点灯してサイレンが鳴り響く。通信はとっくにロストしていた。その時、ぼくは宇宙にいたのだ。落ちゆく船の中に。

 

ぼくは未完のミッションを抱えていた。軌道上を安定航行していた衛星に伴って、はじめぼくはデブリの回収を任されていた。デブリとは地球の周りを飛び交う大小様々の浮遊物のことで、宇宙ゴミなんかって言われたりもする。君は知ってるかもしれないね?

 

デブリは何かと脅威になるからといって、僕はそのミッションを与えられたとき、とても嬉しかったんだ。自らを誇りに思った。地球はいま、たくさんの問題を抱えているだろう?実は、デブリもその一つなんだ。それくらいの脅威なんだ。そんな問題を僕に任せてもらえるなんて、光栄に思わないわけがなかった。

 

僕は衛星からソナーを使ってデブリ群を特定し、それから特殊な機械でそれらをどんどん集めていった。やがて破片が寄り集まってある程度より大きくなると、今度こそそれを地球めがけて落とすんだ。すると大抵それは空気の力で燃え尽きてしまう。仕事自体は地道だけど、僕はとてもやりがいを感じていた。

 

だけど、ある日ぼくは相手にしてはいけないものを見つけてしまった。そして結局、それが原因で衛星は速度を失い、軌道予測は墜落を示していた。

 

メデューサだよ。君は信じないかもしれないけれど、メデューサが居たんだ。彼女は僕を石にはしなかったけど、衛星が落ちれば十分だってわかってたんだろう。彼女は地球を睨みつけていた。まるで、地上の人間すべてを石に変えようとしているみたいに。

 

僕は太平洋に落っこちた。幸いにも命は無事だった。でも、もう前みたいにはやってられないっていうのはすぐにわかったよ。僕がメデューサを見たことは誰も信じてくれなかったし、そんなことを言って衛星を落としてしまう僕は、プロジェクトをクビになってしまった。まあ、実際にはそれはわからないけれど。なぜなら僕は、彼らの正式な連絡を受けたことがないからね。ソナーが思いもよらず役に立って、海に落ちてから自力でなんとか陸地に上がり、そこでもうのんびりやっていたんだ。僕自身、ダメだってわかったのさ、僕が。なぜなら、本当にはメデューサなんかいるわけないからね。いや、確かに見たんだけどさ。

 

それからはずっとそこで暮らしていたよ。あとからわかったんだけど、僕にも縁がある国だった。そのせいかどうか、僕は随分暮らしやすいと感じたな。

 

そうして僕は、詩人になったんだ。あのデブリを集める日々を終えて、半分焼きが回っちまった僕は、デブリの代わりに言葉を集めて詩をつくる、ちっぽけな詩人になったんだ。

6月8日の詩2 砂

僕は小さくため息一つ

丘の上へ駆け上がって

夕日を見るのが好きだった

じりじり揺れる沈む夕日は

どうしようもなく大きな力そのものに見えた

 

済んだ言葉が心の中で繰り返される

君の声で繰り返される

返事はどうすればいい

なんて返せば100点だろう

迷う心が血をわきたたせて

僕はとっさに駆け出した

坂道だってもろともしないが

夕日に影を縫い付けられて

ああ、もうどこにもいけない

僕はこのままずっとここに居られたらよかった

もうどこにも行きたくはないが

砂になってあの空の方へずっと流されてゆけば幸せだった